Updated Date: 2019-10-28 14:00:52

東日本大震災 被災地に向けたメッセージ

聖徳大学短期大学部総合文化学科 講師 山中 壽江 講師

著者プロフィール
1970年茨城大学卒業。千葉県公立中学校養護教諭を経て、現職。専門は、学校保健、養護概論。「子どものこころに寄り添う養護教諭の相談的対応(共著)」(学事出版)、「保健室登校の研究(共著)」(東山書房)などの著書、「保健室登校生徒の社会化の過程-養護教諭の教育的機能に着目して-」(日本学校保健学会)、「養護教諭の保健室へ来室する子どもの対応のあり方に関する研究 第1報-子どもの意識調査から子どものニーズを探る-」(日本学校健康相談学会)などの論文あり。

テレビなどの報道では、学校が再開し体育館や近隣の学校校舎を借りて授業が再開された、また避難先での近くの学校への編入などが報告され、しかも元気に明るい表情の子どもたちの姿が映し出されている。しかし、あの地震の揺れの大きさはとても怖かった。そのあとの津波が押し寄せる映像は、まるでSF映画を見ているようだった。そして、恐る恐る感じていた原発事故…。それらは、平穏な心にどれほどの傷を残しただろうか。

たびたび起こる余震、そのたびにあの時のことが走馬灯のように頭の中をよぎっていくのは私ばかりではないだろう。まさに体験した方々の心の奥に刻み込まれ、恐ろしさは常に自分のそばに寄り添うかのようにまとわりついていることだろう。

5月21日の朝刊(朝日新聞)には、東京都内で催された被災地慈善コンサート「故郷」で、プロの楽団員と共にトラペットで「負けないで」を演奏した少女のことが記事として掲載されていた。TVのニュースでも報道されていたので、このニュースに感動を覚えた人は多かったと思う。「復興を担うのは私たち若い世代。悲しみに負けないで生きたい」と語る少女に多くの拍手が鳴りやまなかったという。

一方、朝日新聞では「いま子どもたちは-震災を生きる-」が連載されていた。苦しみ、悲しさ、つらさと向き合いながら時に胸の奥に押し込んで生きる子どもたちの前向きな姿が取材されていた。

そうした状況下で、私たちにできる支援はなんだろう?

今、一番大事なのは「心のケア」ではないだろうか。

連載最後の日は、東京学芸大学小林教授のコメントが載せられていた。子どもの今の気持ちをそのまま受け止めていくこと、今のままの自分でいいというメッセージを伝えること、子どもたちを肯定的に受け止めていくことの大切が述べられていた。さらに、そうした子どもたちを現場で支えている教師も自らが被災者である。

今こそが相互に支えあっていく時である。

幾度となくテレビで流されていた言葉をもう一度かみしめたい。

<こころ>はだれにも見えない
けれど<こころづかい>は見えるのだ
胸の中の<思い>は見えない
けれど<思いやり>はだれにでも見える

          (宮澤 章二 「行為の意味」より抜粋)

Editor: 山下 伸夫
Updated Date: 2011-06-28 20:36:39